及川 正行(OIKAWA Masayuki)

連絡先

住所
〒816-8580 福岡県春日市春日公園6−1 九州大学応用力学研究所
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プロフィール

現在
九州大学応用力学研究所 基礎力学部門(非線形力学分野) 教授
九州大学大学院総合理工学府 大気海洋環境システム学専攻 非線形波動  
出身
1947年,群馬県生れ
京都大学工学部数理工学科卒
京都大学大学院工学研究科数理工学専攻博士課程単位取得退学
工学博士(京都大学)
趣味
テニス(テニス歴28年),
オーディオ(中古のJBL4344をフライングモールDAD-M1×4台でマルチで駆動,結構いけます.クラシック,ジャズ,歌謡曲なんでも聴きます),
樹木(木の名前を覚え始めた程度,四季折々楽しめます)

研究

 水の波,内部波など流体中の非線形波動,ソリトンの数理とその応用,流体運動の 安定性などに興味がある.最近は界面を含む流体運動の数値計算にも興味があるがや ってくれる人がいない.以下に,過去にやったいくつかの仕事と最近やっていること を挙げる.

(1)ソリトンの相互作用の摂動法による定式化
 同じ方向に伝播する(有限小振幅の)長波ソリトンの相互作用は通常はKdV方程式 によって記述されるが,正面衝突はKdV方程式では記述できない.それを摂動法で定 式化したのが私の(矢嶋信男先生との)最初の仕事です.また,伝播速度の差が大き い2つの包絡ソリトンの相互作用を摂動法で取り扱った.  浅水波ソリトンの正面衝突について摂動法の高次まで進もうとするとうまくいかな くなる.われわれの数値計算によれば,実は正面衝突によってソリトンは歪められtail を放出して振幅の少し小さなソリトンに変化するからである(船越満明氏との共同研 究).振幅が十分小さいとtailが無視できて,相互作用の後も同じソリトンのままで phase shiftだけが起こるように見えるのである.
(2)ソリトンの2次元的相互作用
 長波ソリトンの相互作用に対する摂動法はソリトンの斜め相互作用にも容易に拡張できる.振幅が十分小さく,2つのソリトンの伝播方向もかなり異なるときには,そ れぞれが例えば,KdV方程式に支配されるソリトンのphase shiftを考慮した重ね合わ せで表され,2つのソリトンが重なったところで非線形相互作用の効果が現れる.し かし,2つのソリトンの伝播方向が近いと相互作用が強くなって,摂動法は破綻する. この場合には伝播方向が近いということを利用して2次元性考慮した新しい近似方程 式が得られる.典型的なものがKadomtsev-Petviashvili(KP)方程式である.KP方程式 はKdV方程式の2次元化であるが,それ自身ソリトン方程式であって,ソリトンの相互 作用を表す解析解も知られている.特に興味深いのは平面波の3波共鳴と形式的に類 似したソリトン共鳴という現象が起こることである.これによって,ソリトンの相互 作用によって異なる方向に伝播する新しい波を生成する.場合によってはこの新しい 波は最初の波の4倍もの振幅に達する.  Benjamin-Ono方程式やMKdV方程式などのソリトン方程式に対しても同様な2次元化 が可能である.それらはソリトン系ではないが,数値計算によって,ソリトン共鳴と は言えないが,新しい波が生成され,場合によってはその波の振幅が初めの波の振幅 の4倍を超えることもあるという意味でやはりKP方程式の場合とかなり類似の相互作 用を示すことが明らかになった(辻 英一氏との共同研究).ソリトンの2次元的相 互作用は大振幅波生成の1つのメカニズムとして注目される.
(3)厳密解に関係する研究
 ソリトン理論の驚くべきことの第一は非線形発展方程式の解法が線形固有値方程式の散乱問題と逆問題という一連の線形問題に帰着するという逆散乱法の発見であろう. 逆散乱法の1つの一般化として3階の固有値問題の逆散乱法によって解きうる非線形 発展方程式を調べ,3波共鳴相互作用方程式のほかに結合KdV方程式,結合MKdV方程式 ,結合非線形シュレディンガー方程式,長波短波共鳴相互作用方程式などを見出した. また,逆散乱法によって長波短波共鳴相互作用方程式のN-ソリトン解を求めた(矢嶋 信男先生との共同研究).さらに,長波短波共鳴相互作用方程式を2次元化し,それ を双線形形式に変換して2-ソリトン解を求め,V字型ソリトン解などを初めて見出した.
(4)離散非線形可積分系に関する研究
 有力なソリトン理論の1つに適当な従属変数変換によって与えられた非線形方程式を双線形形式に帰着させる方法(広田の方法)がある.双線形形式になってしまうと あとは形式的にやれるが,適切な従属変数変換を見つけることがむずかしい.離散系 ではとくに難しい.連続体に対して可積分性の判定条件として提案されたパンルベ判 定法の離散版として提案された特異点閉じ込め法を応用してこの双線形化のための従 属変数変換を系統的に見出すことができる.実際にいろんな離散非線形方程式にうま く適用できる(丸野健一氏らとの共同研究).
(5)非同軸回転2円筒間の流れの安定性
 流れの安定性は単に考えている流れが安定に存在しうるかということだけではなく,より複雑な流れに対する見通しを与えるという点でも興味深い.非同軸回転2円筒間 の流れはJournal bearingとして実用上も重要であるが,安定性の観点からは基本の2 次元定常流が局所平行流と必ずしも見なせないということがある.局所平行流ならば, 安定性を支配する方程式は常微分方程式となり,取扱も簡単になる.しかし,実際に は剥離が生じるなど位置によって流れがかなり異なる.そこで,まず,基本の2次元 定常流を偏微分方程式を数値的に解いて求め,それに対する擾乱の方程式を軸方向に フーリエ分解して偏微分方程式の固有値問題を解くことによって安定性を調べた. 2円筒間の隙間が狭く,外側の円筒が静止しているときには,eccentricityは安定化 効果をもつこと,また,2円筒間の隙間が広く,外側の円筒も同じ方向に回転してい るときにはeccentricityはある範囲では不安定化効果を持つことを見出した.

主な論文

著書・総説等