2008年2月25日更新

TexPointの紹介

PowerPointを使ってプレゼンテーションを行う時に, 数式をどのように入れるかが問題になることがあります. 添付の数式エディタを使えば,それなりの物ができますが, 普段TeXを使ってる人にとっては,仕上がりや操作性の面で不満な部分があるのではないかと思います. かと言って,TeX出力のdvi形式のファイルはそのままPowerPointに貼ることができません.

George Neculaさんが発表しているソフト TexPoint は, Texで指定された出力をPowerPointの図として簡単に貼ることができる機能を PowerPointに付加するものです. ポップアップされたウインドウにTeXのコマンドを入力すると, TeXソース -> dviファイル -> PostScriptファイル -> ビットマップへと自動で変換し, ビットマップを適当な所に貼り付けてくれます. あとはマウスで移動したり,拡大縮小をします(作る所でも指定できます). きれいさの度合いはNeculaさんのデモを見てください. 日本語も出力できます.

現在(2008年2月),TexPointはシェアウェア (意味はこちら)です. ソフトの便利さや,作者側の事情(忙しい上に,バグを出してくれる人が居ず,フリーとするメリットが無い) を考えると,正直しょうがないと思えるのですが,登録などの準備作業の量が増えているのも事実です.

新しいバージョンをインストールする機会がありましたので, それらの手順などをまとめてこのウェブページに置きます. なお,Mac版もありますが,以下ではWindows版の説明となります.

同じ目的のために作られたソフトとして,丸田一郎さんの開発された TexClipがあります. より手軽で使いやすく,無料で利用できますので,こちらを試用されるのも良いと思います.

一応昔のウェブページ( バージョン1.5向けバージョン2.03向け )を残しておきます.

目次

インストール準備

TexPointを使うには次のソフト等が必要です.
Microsoft PowerPoint
本家サイトによると,バージョンはOffice(PowerPoint)2000 以降が必要のようです.私はOffice2003を使いました.
TeXシステム一式
奥村晴彦さんの TeX Wikiのページから行ける Windows へのインストールが参考になると思います. インストールが終わったら,ページ内の ここまでのテスト を行い,インストールが成功したかどうかを確認しておきます.
GhostScript
これも Windows へのインストールの「Ghostscript のインストール」という項をみて インストールします. インストールした後,C:\gs\gs7.07\binをPath環境変数に加えてください ("7.07"の部分はバージョンによって変わります.ただ,バージョン8は非対応という情報がどこかにあったような気がします.). やり方は上でTexをインストールしている中で出てきた方法と同じです.
サイトの なお,貼り付ける数式・文章に日本語が含まれる場合には, ここ にある日本語に関する設定をして, 日本語の文書(例えばc:\gs\gs7.07\kanji\article9.ps)が問題なく読める事を確認してください.
クレジットカード
ライセンスの費用の支払いに必要です.インストール後30日経過すると, 登録を促すメッセージが出るようになるそうですので,継続利用をする場合には下に書く方法で ライセンスを取得してください.Visa,Masterのメジャーな2社が使えます.
Emailを見られる環境
ライセンスの登録に必要です.ライセンス番号がメールで送られるので, メールが見られないと登録が完了しません.
最後に,もし以前のバージョンのTexPointが入っていたら, 前もってアンインストールしておきます.

インストール

以上の準備を終えたら本体のインストールをします.準備に比べ,非常に簡単です. 本体のプログラムは, 本家サイト からダウンロードできます(2008年1月30日現在,最新のパージョンは3.1.2です). 自分の持っているPowerpointのバージョンに対応したものをダウンロードします. ファイルをダブルクリックして実行します.

"next"で次に行きます.

使用規約に同意した後,この画面になります "Install"を選び,"next"で次に行きます.

"Install"のボタンを押します.

"Finish"のボタンを押してインストールを終了し, Powerpointを立ち上げます.

インストールが正常に終わっていれば,メニューの中にTexPointが付け加っているはずです.


使い方

使い方についてはPowerPointのバージョンで少しずつ違う点があるようですが, ここでは2003バージョンで説明します.

まず使用前に設定を行います.これはファイルを新しく作る毎に1回行います. 後で変更が効くので,気楽です.

メニューの"TexPoint"から"configure"を選びます.

この部分はかなりバージョン2から変わり,設定項目がかなり多くなっています.

まず,右上の「Show all options」にチェックを入れ,全ての項目を表示します. 「Select a variable and ...」の下に設定すべき項目が並んでいます. 下のほうにあって見えない項目は,右側のスクロールバーを動かす事によって見えるようになります. 項目を選ぶと,それに応じて下の入力欄が変わります. Applyを押す事によって(内部的に)反映されます.

以下に幾つかの設定値について書きます.

Display Format
デフォルトでは「Outline(EMF)」です. しかしこの設定で文字化けが起こる不具合が私の周りであっていて, 対応として,「256 colors PNG」を選びました.多分BMPでも同じではと思います. 色をたくさん使うならば「truecolor」を選びます.
Default Resolution
デフォルトでは「1200」です.これはそのままでいいと思います. 余り小さくすると拡大時に品質が悪くなります.
Default LaTex source
以降の編集で必ず入力する項目については,あるならばここで入力して置けば便利です. 例えば,色を使うならば\usepackage{color}の記述が(普通のTeXシステムと同様)必要です. また,bm,amsmath,amssyblなどのパッケージが必要な場合も同様です.

なお,ここの記述に限らず,既存のTeXのソースなどから「コピー」->「ペースト」する場合に, 右クリックからのコマンド実行がウィンドウ内で出来ません. 代わりに入力欄右側のアイコンボタンを使います. 一番上の行が左から,カット(はさみのマーク),コピー,ペーストになっています.

LaTex Template
そのまま「article」で問題ないですが, 大きい字を普段から使う場合など,「slides」の方が良いかもしれません.
Transparent
背景が色つきの場合に,後ろをそのまま見えるようにする場合に設定します.
Latex Command
日本語が通るように「platex」にします.
Dvips command
日本語が通るように「dvipsk」にします.
Ghostscript parameter
"-dWINKANJI"を加えます.加える位置については,とりあえず"-dNOPAUSE"の後に入れています. どこでもいいのかはわかりません. その下の"boundingbox parameter"の方も同様な設定を行います(必要無いかもしれません).
language
これはメニューの表示用の言語です.
"ok"を押して閉じます.これで事前の準備は終了です.

次に,メニューの"TexPoint"から"New tex display"を選びます.

上のようなウィンドウが開くので, \begin{document} と \end{document} の間に文章を入力します. ここでは,ベクトルaを数式として入力します.結果を大きく見せたいので,documentstyleをslidesにしました. 入力し終わったら,右上のMake displayを押します.

コンパイルでエラーが無ければ,数式が画像として張られます.

コンパイルエラーが起きる場合,数式入力画面のdebuggingタブのShow logのチェックボックスをONにすると エラーメッセージが見えて便利です.

数式の位置調整は,画像を移動させる要領と同じです.

また,数式自体の修正は数式画像をダブルクリックし,ウィンドウを再び開けて直します (Powerpoint2007ではダブルクリックではなく,ウィンドウを選んだ後, 上部のツールバーにあるEditボタンを押します).

次の数式は,メニューの"TexPoint"から"New tex display"を再度選び,以降同様に作業していきます.

他にもいろいろな使い方があると思いますが,基本的にはここまでの説明で何とか使えるのではと思います.


ライセンス取得

ここでは,継続的に使用する場合に必要なライセンス取得と,その方法を示します.

まず,ライセンス購入のページ (http://texpoint.necula.org/buy.html)に行きます.

最初の文にあるように,費用はアカデミックユーザーが30USドル,そうでない場合は45USドルとなります. 以前からの有償ユーザーにはアップグレードのオプションもあるようです. ここでは,アカデミックユーザーが新規登録をする方法を示しています.

支払い方法は小切手とPayPal経由のクレジット払いのどちらかです. 日本のユーザーはほぼクレジットの支払いでしょう. Paypalは経由するだけなので,PayPalについて登録などをする必要はありません.

画面中ほどの「PayPal」と書かれている画像をクリックすると,金額などの入力画面になります.

まずUnitPrice欄にアカデミックユーザーなので「30」と入力します. そして「Update Total」をクリックすると,少し待たされた後で,支払い額が計算されて画面に反映されます. なお,ライセンス数(Qty)は変えられませんが, 一つ前のwebページに「1ライセンスで3台のPCにインストールできる」とありますので, 一人で使う分には1ライセンスで十分と思われます (同じライセンスで違う人が使うのはいけないようです).

次に個人情報を記入します.

まず,CountryとしてJapanを選びます. すると少し待たされて下の住所欄が日本向けに変わります.

以下,optionalと書いているところ以外は全て記入します. なお,CSCはカードセキュリティーコードです.詳しくは例えば こちらを参照してください.

全部入力し終えたら,「Review Order and Continue」をクリックします.

すると,「Review your Payment」という画面で,確認が促されます. 正しい事を確認し,「Pay $30 now」というボタンをクリックします.

「Thank you for your payment」という画面でとりあえず終了です.

ライセンス番号を見るため,登録したメールアドレスに届いているメールを見ます.

題名は 「Your TexPoint receipt and instructions for finishing the TexPoint registration」です. これを見ると,値段や登録の説明の後に,登録したメールアドレスで始まる1行の英数文字列が 書かれています.これがライセンス番号です.

次に,TexPointを使っているPCにこの番号を登録します.

まず,メールからライセンス番号をクリップボードにコピーします.

Powerpointに戻り(あるいは立ち上げ), メニューの"TexPoint"から"registration"を選びます.

入力欄が二つありますが,上の方の「Enter the TexPoint License number...」となっている 欄の横のペーストのマークをクリックし,番号を入れます. すると「Go Online to get the registration key」 というボタンが有効になるので,それを押します.

するとブラウザが立ち上がり, 「TexPoint Registration key distribution center」というwebページが開かれます. 画面に登録したメールアドレスで始まる1行の英数文字列が表示されます. これがregistration key です (もう少し正確には「今入力したライセンスによる,このマシンの登録キー」です). 今度は,このregistration keyをクリップボードにコピーします. 再びPowerpointに戻り,メニューの"TexPoint"から"registration"を選んで, 今度は下側の欄にregistration keyをペーストします.

すると,「Record the registration key」ボタンが有効になるので, これを押して,作業が完了します.



辻英一(九大応力研)