トカマクHモードにおける二次元電場構造

Hモードのような大きなポロイダル流が存在する場合、ポロイダル方向にショック状不均一構造が形成されることが理論的に示唆されている。ポロイダル電場は径方向の対流輸送をもたらすので、改善閉じ込めを定量的に評価するには径、ポロイダル両方向に急峻な構造形成機構を統合的に理解する必要がある。本研究では、径方向、ポロイダル方向成分をシア粘性項によって結合させることで、自己無撞着な二次元電場構造モデルを提案した[8]。プラズマ端近傍の領域で、径方向にシアがあるポロイダル流のもとで解くことで、ポロイダル方向に局在化した急峻な電場構造(ポロイダルショック構造)と径方向に急峻な構造が競合する場合の二次元構造が求まる。シア粘性が強い場合、弱い場合の極限で解析解を得た。実験的にはシア粘性の大きさが中間的な領域にある。この領域ではポロイダル電場の最大値は粘性係数に反比例し、密度の極大もポロイダル位置を変える[10]。ポロイダル流のシアがない場合でもポロイダル構造は形成されるが、シア流が存在するとさらに急峻なものとなる。ポロイダル電場からもたらされる径方向を向くE×B流の磁気面平均量は流れにシアがない場合でも~1[m/s]の内向きの対流をもたらし、流れにシアがある場合はシア領域でさらに大きくなる。プラズマ端部近傍の密度分布を決定するに十分な大きさであり、この対流的輸送が改善閉じ込め時の輸送障壁における急峻な密度分布を形成する要因となりえる[9]。この粒子束の大きさは衝突周波数に弱い依存性しか持たないこと、径電場、磁場、プラズマ電流の向きにより粒子束の向きが変化することがわかった[11]。

図1: E×B流シア層存在下でのポロイダル電場分布。

(参考文献番号は研究業績リストに対応)