Numerical Linear Device

乱流プラズマの構造形成機構の解明は輸送現象の定量的理解のために重要な課題である。円筒形プラズマ中での乱流解析コードNumerical Linear Device (NLD)[13]を用いて直線型装置におけるドリフト波乱流の解析を行った。乱流が形成する磁化プラズマ中のメゾスケール構造とその自己維持機構を定量的に評価することが目的である。
中性粒子の効果を取り入れた3場流体モデルを用いて、密度、静電電位、磁力線方向電子速度の揺動構造を計算する。線形成長率の評価から実験でドリフト波乱流が不安定になる条件を調べた。適切な装置長、磁場強度、そして中性粒子密度の減少とイオン密度の上昇が系を強く不安定にすることがわかった[14]。
非線形時間発展の計算を行い、乱流の飽和状態を得た。飽和をもたらす要素として、準線形的な密度分布平坦化、非線形結合によって形成される電位分布による安定化(帯状流の形成、図1)、空間的な収束構造(ストリーマ構造、図2)を伴う複数モード間のエネルギー交換があることがわかった[16]。


図1:帯状流形成時の各モードの内部エネルギーの時間発展とポテンシャル分布のスナップショット。

図2: ストリーマ形成時の各モードの内部エネルギーの時間発展とポテンシャル分布のスナップショット。