大気環境モデリング分野では次のような研究課題に取り組んでいます。

大気汚染・エアロゾルの数値シミュレーション

東アジアスケールの気象と越境大気汚染を数値モデルでシミュレートし、特に高低気圧の通過に伴う大気汚染ガスやPM2.5などの大気エアロゾルの越境輸送と変質機構の解析を進めています。この研究は、最近、大きな環境問題として注目されているPM2.5微粒子の動態解明にも密接に関連して、非常に重要な研究テーマです。数値シミュレーションの特性を活かして,大陸起源汚染物質の日本への寄与率や,海洋への沈着も含めた汚染物質の収支解析などを行っています。

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黄砂の大気環境インパクトに関する研究

中国内陸域のタクラマカン砂漠やゴビ砂漠で発生する鉱物性ダスト(黄砂)は,春季の東アジアのエアロゾルの大部分を占め,大気環境や,人間生活(健康影響),気候変動に大きなインパクトを与えています。数値モデルによるシミュレーションなどでこれらのインパクト評価や,黄砂のライフサイクル(発生・輸送・物理・化学過程・沈着)に関する研究を進めています。2009年には,数値シミュレーションと衛星観測を組み合わせることで,タクラマカン砂漠を起源とした黄砂が世界を一周して輸送されることを明らかにしました。

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越境大気汚染の観測

数値シミュレーションに頼るだけではなく,大気汚染ガス(オゾンや窒素酸化物)・エアロゾルの長期観測も行っています。多波長ライダー装置偏光式光学粒子測定装置エアロゾル連続自動分析装置などを用いて、福岡上空の大気汚染ガス・エアロゾル成分の観測を行い、越境汚染を中心としたエアロゾルの季節変動・経年変化などの解析を進めています。

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衛星観測データを使った研究

観測技術の発達によって,衛星を使って宇宙から大気汚染ガスやエアロゾルの観測ができるようになってきました。衛星観測データを解析することで,大気汚染ガスやエアロゾルの分布の変遷や輸送パターン,その影響を明らかにする研究を行っています

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データ同化を用いた研究

データ同化とは,数値シミュレーションと観測データを融合させ,お互いを補完する手法です。数値天気予報などで用いられてきたこの手法を化学輸送モデルに適用させる研究を行っています。具体的には,衛星・地上観測データを数値シミュレーションに取り込む(同化する)ことで,

  • エアロゾル予測・シミュレーションの精度向上
  • 大気汚染物質の排出量分布・強度の推定
  • 観測と整合性のとれたデータセット(再解析プロダクト)の開発

などに取り組んでいます。

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 大気海洋環境システム学専攻設立時には、大気環境工学の諸問題を主に取り扱う「大気海洋計測学講座」として植田洋匡教授((財)酸性雨研究センター・前京都大学防災研究所教授)と草場忠夫助教授のもとでスタートしました。そこでは、主に、大気境界層の構造及び乱流輸送特性に関する研究や密度成層した大気の流動及び波動特性に関する研究、更に大気汚染長距離輸送と地球大気循環に関する研究が精力的に行われました。その後、植田教授は平成9年3月で京都大学に転出されました。
 平成10年4月の専攻改組の時点で、研究室は大気変動学講座として、鵜野伊津志教授・辰野正和助教授のもとで再スタートし、地球・地域規模の大気環境問題の解明とその保全を目的として、流体力学と気象学を融合した新しい環境流体力学に基づいた研究を展開しています。温度成層風洞や水槽を用いた流体内での様々なスケールの物理現象の基礎流体力学的研究を行い、この成果をもとに、環境大気の運動・大気質の輸送・変質・除去過程の総合的数値シミュレーション法を開発中です。
 専攻改組時のメンバーであった烏谷隆助手は、平成11年4月に応用力学研究所大気流体工学分野の助教授に昇任、天本肇助手は、平成12年3月で41年間つとめた九州大学を定年退職されました。科学技術振興事業団技術員の石原浩二さんは、平成12年度まで計算機環境の強力なサポートをして頂きました。辰野正和助教授は平成17年3月に定年退職されました。平成22年3月に石井幸治技官が定年退職されました。
 平成18年2月に竹村俊彦助手が准教授に昇任され、平成26年12月に東アジア海洋大気研究センターの教授に昇任されました。
 平成25年度に科学研究費基盤研究Sが採択され、平成26年4月から「大気環境統合研究センター」が設置され、PAN Xiaole助教が着任しました。
 平成28年6月に王哲助教が,平成29年1月に弓本桂也准教授が着任されました。
 現在は、鵜野伊津志教授・弓本桂也准教授・原由香里助教・王哲助教、樫原典子秘書のもとで研究が行われています。