レンズ風車

◆ 4 【風レンズ技術とレンズ風車】 風力・水力エネルギーの有効利用に関する研究

風レンズ(風の局所集中効果)による風力発電の高効率化に関する研究

私たちは自然エネルギーの利用割合をこれまで以上に増やし、クリーンな社会作りをすることに貢献したいと考えます。 その一環として有効な風力エネルギーの利用方法を研究開発してきました。 現在それは「風レンズ技術」「レンズ風車」という形で実用段階にきました。レンズ風車は大型化や洋上風力発電への利用 などについてさらに研究が進んでいます。

また、「風レンズ技術」の流体力学現象は液体にも適用できます。すなわち「レンズ水車」も同じ原理で可能です。九州大学では レンズをつけた水力発電デバイスの研究も行っています。

[New! 2014 Nov 21]  レンズ風車関連についてまとめたPDFファイルをアップデートしました。
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風力エネルギーの有効利用
水力エネルギーの有効利用

■風レンズの仕組み  
風レンズは後方に向かって拡大してゆく「ディフューザ部」とこの後端から垂直に切り立った「ツバ」部分から成ります。 風の流れ(または水流)はこのツバでは激しく妨げられツバの後方で渦をたくさん作ります。この部分が低圧になり上流から流れを引き込もうとします。 ということは内部に設置された風車・水車にあたる流れが加速するという結果をもたらします。 発電機が流体から取り出すエネルギーは入ってくる流速の3乗に比例しますので、この加速によって格段に出力が上昇します。
風レンズの仕組み
レンズ風車の原理を説明したデモ動画を作りました。どうぞご覧ください。
デモ機1

デモ機2

>> デモ機 No.1 (mpg)
>> デモ機 No.2 (mpg)

■風レンズ関連研究1:  小型風車
現在私たちは九州大学発のベンチャー会社「リアムウインド(RIAMWIND)」と協力して1kWおよび3kWレンズ風車を商品化しました。 この3kW風車はカナダ風力協会の試験場、WEICan(カナダ東部プリンスエドワード島にあります)にて厳しい数々の安全・性能試験を行いました。 そひて安全な製品である証として2014年に日本における小型風車認証を日本海事協会様より取得しました。

○ 設置事例1:  1kWレンズ風車(NHKとの共同開発)
ロボットカメラNHK
このプロジェクトはNHKとの共同開発です。 宮城県仙台市の南に位置する亘理町で津波による被害を受けながらも残ったビルの屋上に太陽光パネルとレンズ風車の発電だけで24時間稼働できる屋外監視カメラ通称 「ロボカメ」に1kWレンズ風車を設置しています。同じようなハイブリッドシステムをNHKのロボカメとして新たに数百か所設置する計画もあります。

○ 設置事例2:  3kWレンズ風車
RKB3kW風車
RKB放送局の敷地内にある立体駐車場屋上に3kWレンズ風車を設置しました。周りにマンションなどがありますがレンズ風車の静粛性によって設置が可能になりました。 また、この場所は北西の強い風がビルなどによって加速される「ビル風」を受ける流れの速い場所です。 これは当研究室の数値シミュレーションリアムコンパクトによって解析されて最適地が選ばれました。


○ 設置事例3:  改良型3kWレンズ風車

2014年よりレンズ構造の更なるスリム化が行われています。これにより効率を落とさずに風荷重を大幅に低減(約半分)しています。この完成後に発電機をアウターロータ型にアップグレードします。それによりナセル構造がシンプルになり、風車重量が小さくなります。

実際の改良型3kWレンズ風車
3kW New version picture

■風レンズ関連研究2:  中型風車
2014年時点で私たちが制作したレンズ風車は最大のもので100kWです。この風車は、ローター直径12.8m、集風レンズ直径15.4mを有し、定格風速 12m/sで 100kWを出力します。ヨー制御は、基本的にパッシブヨー制御(風向センサーでアクティブヨー制御も可能)です。 現在これを進歩させた300kW級の中型レンズ風車の研究を行っています。この中型の開発は将来の洋上発電ファームに繋がる重要なステップと位置付けられています。

九州大学伊都キャンパスに設置されている100kWレンズ風車
100kW風車

中型レンズ風車サイズ比較(100kW & 300kW)
中型レンズ風車サイズ比較

■風レンズ関連研究3:  洋上発電
将来の複合的な大型洋上発電ファーム実現への第一歩として、九州大学風レンズ研究チームによって開発された3kW小型レンズ風車を使った洋上発電システムの実証試験が 2011年12月よりスタートしました。このプロジェクトは環境省からの委託事業として九州大学博多湾浮体複合発電実証実験チームにより遂行されました。 風速と発電量のデータを長期間にわたって取得し海岸から程遠くない海上での風力発電の利点が実証されました。
この成果を踏まえ、さらに大型の実証試験実現に向けて着手しています。一辺が70mから100mの三角形浮体に3基の300kWレンズ風車を搭載するハイブリッド洋上発電の構想です。
洋上発電特設ページを見る >>

レンズ風車を搭載した博多湾浮体発電実験の様子



■風レンズ関連研究4:  マルチロータ風車
世界的にも商業ベースの風力発電に使われる風車は大型化の一途をたどっています。これは単位電力あたりの発電コストが小さくなることが主な理由ですが現在1基の大きさが10MW ほどの規模になりつつあり、ロータの直径が100mを超える規模です。これ以上の大型化が実りあるものか、また技術的・経済的に可能か疑問が出てきます。 また、大型に伴い騒音や視覚的インパクトの問題も起こりつつあります。そこで私たち研究室ではスコットランドのStrathclyde大学と共同で小型や中型を集合させて大型風車規模の発電量を稼ぐ 「マルチロータ」または「クラスター」風車と呼ばれる方式について研究を進めています。これは大型に伴う風車の重量増加が抑えられ(スケールメリット)、風の変動によって生じる発電量や風荷重に関する問題が低減できる可能性があります。 また、クラスターを構成する風車にレンズ風車を用いて更なる性能向上と静粛性を生かした風車設置上の問題解決などを目指しています。

マルチロータ(実験用)とシングルロータレンズ風車の例(共に3kW定格)
3kW Multi rotor

2014年のクリスマスの時期に1kWレンズ風車を3基搭載した、3kWマルチロータレンズ風車を建設しました!

実際の3kWマルチロータ
3kW Multi rotor

マルチロータ風車は構成する風車の数が多いほどスケールメリットがあります。そこで問題になってくるのが風車を支える構造です。また、ヨー回転の仕組みも問題です。このような課題を克服する研究も行っています。

[2011/6/22] レンズ風車に関する研究の内容をPDFファイルにまとめました(6.2MB)。どうぞご覧ください。
>> レンズ風車研究ダイジェスト クリック!

[2011/11/27] 最新のレンズ風車についてのパワーポイントプレゼンテーションをアップ!
(ファイルサイズが少々大きいです 97MB)
>> こちらからご覧ください

[2011/11/8] レンズ風車を乗せた博多湾浮体発電システムに関する環境アセスメント最新版文書をPDFにしました。
>> 環境アセスメント
*この環境アセスメントは福岡市環境局殿の多大なるご協力によって作成されましたことを付記します。ここに記して深謝申し上げます。

これまでの研究経過
展示
報道記事
動画1
動画2
動画3
動画4
過去の研究成果については,ダウンロードできます.
研究ダイジェストPDFファイル(6.2MB)
PDFファイル(1.04MB)
PPTファイル(9.80MB)

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