西南支部ニュースレター(25号)

平成139月10日

<内 容>

1.    平成12年度支部総会報告

2.    平成12年度支部例会報告

3.    平成13年度支部例会開催のお知らせ

4.    後記

1.平成12年度支部総会報告

 1.開催場所  鹿児島大学稲盛会館

 2.開催日時  12月13日(水) 11:45〜13:15(地区合同シンポジウムの昼食時)
 3.総会出席者(順不同)
   木谷浩三,万田敦昌,茶園正明,小賀百樹,前田明夫,櫻井仁人,仁科文子,
山城徹,中村啓彦,岡村和麿,千手智晴,磯辺篤彦,郭新宇,松野健,中島信行,杉本隆成,市川洋

 4.議題
  
1)平成13・14年度支部役員(支部長、副支部長、幹事)の選出
    任期満了に伴う次期支部役員として,

支部長   今脇資郎
副支部長 
茶圓正明
幹事    
松野健(事務局担当) 森永健司(水産海洋学会連絡担当) 岡田良平(海洋気象学会連絡担当) 石坂丞二(平成13年度例会担当) 磯辺篤彦(平成14年度例会担当)

   が選出された.

  2)平成13年度事業計画

@ニュースレター25号、26号の発行

A支部ホームページの更新、維持管理

B12月に長崎市で開催される西日本海洋調査技術連絡会議で「西日本地区・水産大学校の平成13年度海洋調査実施状況と平成14年度実施計画」を報告

C12月に長崎市で海洋気象学会・水産海洋学会と共催で地区合同シンポジウムを開催

D12月に支部総会を開催

 5.報告
  
1)平成12年度事業報告
   配布資料に基づいて、平成
12年度事業報告および会計報告が事務局より行われた。

 

 

<総会資料>

平成12年度日本海洋学会西南支部総会

日時:12月13日(水) 11:45〜13:15

場所:鹿児島大学稲盛会館

1.支部長挨拶

 

2.議 題

 1)次期役員選出(支部長,副支部長,幹事5名)

 2)平成13年度事業計画

 

3.報 告

 

1)平成12年度事業報告

@ニュースレター23号(7月)、24号(10月)の発行

A総会開催通知(ニュースレター24号掲載総会議題の変更)

B支部ホームページの更新、維持管理

  URL   http://kaimen3.esst.kyushu-u.ac.jp/swb.html

C西日本海洋調査技術連絡会議で「西日本地区・水産大学校の平成12年度海洋調査

 実施状況と平成13年度実施計画」を報告

D海洋気象学会・水産海洋学会と共催で地区合同シンポジウムを開催(12月13日)

      「東シナ海東部における海流系とその変動」

       コンビ−ナ−:櫻井仁人・中村啓彦

 

2)会計報告

     収 入

                前年度繰越金                                          680円

               賛助金(平成11年12月9日)                  25,000円

               寄付金                                                8,815円

     支 出                                                      34,495円

            ニュースレター23号    (7月5日)               11,440円

            ニュースレター24号    (10月27日)             11,350円

            総会議題追加通知        (10月31日)              8,870円

            タックシール            (7月28日,10月31日)    2,835円

    次年度繰越金                                                  0円

 

3)会員異動

 平成12年11月現在の西南地区に在住する日本海洋学会員は,通常会員146名と学生会員45名の合計191名である。平成12年12月現在の本支部会員数は地区外在住の日本海洋学会員および地区内外の非海洋学会員とを合わせて227名である。ニュースレターを支部会員および西日本海洋調査技術連絡会に加入している16機関の担当者に配布している。

 

4)その他

 

 2.平成12年度支部例会報告

1)プログラム

 平成12年度支部例会として、海洋気象学会、水産海洋学会,鹿児島大学工学部と共催して,以下のとおりシンポジウムを開催した。

九州沖縄地区合同シンポジウム
「東シナ海東部における海流系とその変動」

日時: 平成12年12月13日(水)09:00-15:50(西日本海洋調査技術連絡会議の翌日)
場所: 鹿児島大学稲盛会館

コンビ−ナ−: 櫻井仁人(鹿児島大学工学部) 中村啓彦(鹿児島大学水産学部)

開会挨拶 09:00-09:05 日本海洋学会西南支部長 茶圓 正明

趣旨説明 09:05-09:10 コンビ−ナ− 中村 啓彦

 

 

<座長 櫻井仁人(鹿大工) 09:00〜10:30>

 

1.

特別講演  内部波
前田明夫(鹿大工)

09:10-09:40

2.

東シナ海における黒潮変動と対馬暖流の起源について
○郭新宇(愛媛大CMES・地球フロンティア)・宮澤泰正・福田 久(地球フロンティア)・山形俊男(東大理・地球フロンティア)

09:40-10:05

3.

客観解析によるPN/TK線の流量の再計算
金子郁雄(気象研)・○上野大輔・児玉裕樹(長崎海台)

10:05-10:30

 

<座長 松野 健 (九大応力研) 10:30〜11:45>

 

4.

対馬海峡を通過する淡水・熱量の評価
○磯辺篤彦・安藤 充(九大総理工)・渡辺俊輝(山口県水産研究センター)・千手智晴・杉原滋彦(水大校)

10:30-10:55

5.

沖縄本島東方、大東島周辺海域の海洋中規模渦の挙動
○小賀百樹・Shailesh M.Pednekar(琉大理)

10:55-11:20

6.

薩南海域における表層の流況とその時間変動
○種子田雄・森永健司・中川倫寿(西海区水研)・西野博(鹿児島県水産試験場)

11:20-11:45

 

昼食 (日本海洋学会西南支部総会)

11:45-13:15

 

<座長 磯辺 篤彦(九大総理工) 13:15〜14:05>

 

7.

東シナ海陸棚縁辺部の海洋構造T
○仁科文子・市川洋・中村啓彦(鹿大水産)

13:15-13:40

8.

九州南西沖黒潮前線域における海水交換と分流の動態
○杉本隆成・Y.H.Kim(東大海洋研)

13:40-14:05

 

<座長 中村 啓彦(鹿大水産) 14:05〜15:20>

 

9.

東シナ海における黒潮前線周辺の水塊分布及び流動構造の時空間変動
○万田敦昌(熊本県立大環境共生)・磯辺篤彦(九大総理工)・松野健・柳哲雄(九大応力研)・韓仁盛(長大海洋)・神尾光一郎(東京久栄)

14:05-14:30

10.

東シナ海陸棚縁辺部付近における黒潮フロントの変動
○松野 健(九大応力研)・韓仁盛(長大海洋)・Arnoldo Valle-Levinson(Old Dominion Univ.)・石坂丞二(長大水産)

14:30-14:55

11.

春季の東シナ海縁辺部における濁度分布と懸濁粒子の輸送過程
○岡村和磨・横内克巳(西海区水研)・藤原豪(科学技術振興事業団)

14:55-15:20

 

<司会 コンビ−ナ− 15:20-15:50>

 

 

総合討論

 

 

2)例会概要

 日本海洋学会西南支部、海洋気象学会、水産海洋学会、鹿児島大学工学部による合同シンポジウム「東シナ海東部における海流系とその変動」は2000年12月13日(水)鹿児島大学稲盛会館において開催された。海洋学会西南支部茶圓正明支部長による挨拶およびコンビーナからの趣旨説明の後、本年度で鹿児島大学を定年退官される前田明夫教授の特別講演から始まった。氏の主要な研究テーマである内部波や慣性振動について、基本的解説を交えながら、長年続けられてきた観測的研究を振り返る講演をされた。前田氏の特別講演の後、東シナ海の海流系とその変動に関する研究発表が始まった。愛媛大学の郭新宇氏は、J-COPE/FRSGCで開発された3領域入れ子式数値モデルを用いた研究成果として、モデルの空間解像度が東シナ海陸棚斜面域における黒潮の動態に与える影響、およびトレーサー実験から示唆される対馬暖流の起源について報告した。続いて、長崎海洋気象台の上野大輔氏は、PN線とTK線の地衡流量の客観解析による再計算結果を基に、PN線とTK線の間の黒潮流量収支および時間変動の関係を論じた。九州大学の磯辺篤彦氏は、対馬海峡から日本海に流入する淡水量の季節変動を、CTDとADCPデータから可能な限り正確に求め、中国大陸から流出する河川流量と比較した研究を報告した。琉球大学の小賀百樹氏は、約4年分の衛星海面高度計データを用いて、北太平洋西部における中規模渦の形成位置・移動経路・消滅位置および暖・冷水渦の別と規模に関するデータベースを作成し、暖・冷水渦の空間分布特性、寿命分布特性などの興味深い結果を報告した。西海区水産研究所の種子田氏は、鹿児島と那覇を結ぶフェリーに搭載したADCPの流向・流速データを解析し、トカラ海峡における黒潮の流軸位置分布、流向分布、流軸位置の遷移形態を報告した。

 午後は東シナ海陸棚縁辺部の海洋構造の研究発表が多数を占めた。鹿児島大学の仁科文子氏は、黒潮が陸棚斜面から離れる北緯29-31度の陸棚縁辺部における格子状観測網で約6日間おいて2回行われたCTDとLADCP観測のデータを用いて、約6日間の黒潮流路の変化に伴う陸棚縁辺部の海洋構造の変動を報告した。東京大学の杉本隆成氏は、沖縄舟状海盆北端部で黒潮蛇行変動に起因して出現する渦の形成過程を、条件が類似している駿河湾や紀伊水道との比較および回転水槽実験の結果を基に論じた。熊本県立大学の万田敦昌氏と九州大学の松野健氏は、黒潮前線域における水塊構造と流動構造の短期的な変動過程を報告した。万田氏は、1998年と1999年の集中観測から得られたADCPとCTDデータを用いて、水塊別に形成・移動過程を論じた。一方、松野氏は、2000年の集中観測から得られたCTDデータを用いて、主に水温・塩分断面図上で陸棚縁辺部の海洋構造変化を論じた。西海区水産研究所の岡村和磨氏は、東シナ海陸棚縁辺部における濁度分布の短期間変動を、繰り返し観測により得られた濁度分布および海底直上水の懸濁粒子のC/N比などから論じた。

 本シンポジウムは、「東シナ海東部における海流系とその変動」というテーマで行われた。コンビ-ナの狙いは、東シナ海東部における海流系(黒潮、対馬暖流、それらの分岐流、揚子江河川水の移動経路、陸棚上黒潮系孤立水塊の移動経路)の水平分布パターンとその変動形態に関する最新像を整理することであった。しかし、研究発表は、黒潮とその変動に関連するものが主体で、陸棚上の流動に関連するものは郭氏と磯辺氏の二題と偏りがでた。海洋観測では、陸棚縁辺部における海洋構造の変動に関する研究が多く成されていた。これらの研究は、関連した時空間スケールの変動を対象としており、お互いの意見交換による多角的な現象の把握が期待された。唯一、数値実験による研究報告をした郭氏に対しては、陸棚上の黒潮系水の流動に関する活発な質問がなされた。これは、陸棚上の海洋観測が少なく観測資料が乏しいことから、陸棚上の流動場の実態把握が遅れていることを反映していた。今後、観測と数値実験の密接な連携による陸棚上の流動場の把握が期待された。(コンビーナ:桜井仁人・中村啓彦)

3)例会参加者(順不同)
木谷浩三,吉田幹英,渡慶次力,万田敦昌,茶園正明,東政能,志賀達,上野大輔,

小賀百樹,西村大介,斉藤昭則,茂木由夫,前田明夫,櫻井仁人,寺本俊彦,

市川敏弘,岩田静夫,仁科文子,山城徹,浅野敏之,四元洋子,種子田雄,中村啓彦,中川倫寿,岡村和麿,渡辺俊輝,増田裕二,千手智晴,磯辺篤彦,郭新宇,

鹿熊信一郎,松野健,中島信行,Wasef Alhaji,岡克二郎,杉本隆成,増田貴仁,

豊永佳苗,永松哲郎,久木幸治,松原知恵,木下秀樹,新納晃幸,中島兼太郎,

柳元裕司,浜崎浩徳,坂木達也,Lusia Manu,鶴田千香恵,大黒篤司,山中傑,森秀聡,中野さやか,前田広人,町頭圭,市川洋

上記の56名の他,授業の一環として水産学部学生130名が参加した. 

 

付記:下記の例会参加者から賛助金(各1口、千円)を戴いた。
茶園正明,櫻井仁人,中島信行,前田明夫,岡村和麿,郭新宇,中村啓彦,小賀百樹,
市川洋,木谷浩三,杉本隆成,千手智晴,仁科文子,磯辺篤彦,松野健,万田敦昌,山城徹,寺本俊彦(2口),市川敏弘,岡克二郎,種子田雄,茂木由夫,増田貴仁 (計24口)

 

 

3.平成13年度支部例会開催のお知らせ

 平成13年度支部例会として、海洋気象学会、水産海洋学会、長崎大学水産学部と共催して、以下のとおり、九州沖縄地区合同シンポジウムを開催します。

九州沖縄地区合同シンポジウム
有明海の海洋環境

日時:平成13年12月7日(金)

場所:長崎大学水産学部

コンビ−ナ−:石坂丞二・中田英昭・松岡數充(長大水)・松野 健(九大応力研)

 

趣旨説明 中田英昭                         10:00‐10:10

 

                          座長 松野 健 10:10‐12:00

1.基調講演 有明海における水位と流れの変化  宇野木早苗 

2.携帯電話とGPSを使用したドリフターによる有明海測流の試み 

万田敦昌・西村紗智子(熊本県大環境共生)・高橋徹(みなまた環境テクノセンター)

3.有明海の潮汐・潮流  満塩 太(九大総理工)・柳 哲雄(九大応力研)

 

                                      昼 食            12:00‐13:00

 

                         座長 石坂丞二 13:00‐14:30

4.有明海における赤潮−鞭毛藻  本城凡夫(九大農)

5.有明海における赤潮−珪藻   板倉 茂(瀬戸内水研) 

6.有明海における浅海定線調査と人工衛星海色観測によるモニタリングについて 

横内克巳・清本容子・岡村和麿(西海水研)・藤原豪(科学技術振興事業団)・半田亮司(福岡水海技セ)・川村嘉応(佐賀有明水振セ)・吉田雄一(熊本水研セ)・山本憲一(長崎水試)・浅沼市男(宇宙開発事業団) 

 

                                      休 憩            14:30‐14:45

 

                         座長 中田英昭 14:45‐16:15

7.有明海の生物光学的特性について 

石坂丞二・北浦康仙(長大水)・田島清史(長大生産)・田中昭彦(東海大開発工学)

8.マクロベントスからみた有明海の変貌  東 幹夫(長大教)

9.アサリの生態の研究から見た有明海の現状  

堤 裕昭(熊本県大環境共生)・門谷 茂(香大農)

                        座長 松岡數充 16:15‐16:45

10.総合討論

 

シンポジウム開催趣旨:

 有明海は西日本における代表的な沿岸浅海域の一つであり、古くから多様な生物資源の宝庫として知られてきた。日本最大ともいわれるこの海域の潮汐の大きさは、湾奥に流入する筑後川をはじめとする流入河川に涵養された高い生物生産力や、浅海域一帯に広がる干潟の生物保育と浄化の働きを支える重要な要素となってきた。ところが、近年になってアサリ、タイラギをはじめとする魚介類の漁獲量が急激に減少し、2000年12月から2001年2月にかけては赤潮による海苔生産への被害がおこった。この問題は諫早干拓事業と関連し社会問題となり、各研究機関でも対応がはじめられている。

 今回のシンポジウムでは有明海の海洋環境の変遷に関して、これまでの研究をまとめるとともに、現在および今後の取り組み方に関して議論を行いたい。

 

4.訃報

 長年西海区水産研究所に勤務され、西南支部発足以前に有明海,東シナ海の海洋研究に多大な貢献をされた井上尚文会員が、今年5月2日に逝去されました。ご冥福をお祈りいたします。

5.後記

 西南支部発足以来、事務局は鹿児島大学水産学部および工学部の会員を中心に運営されてきましたが、2001年度より、九州大学応用力学研究所で事務局を担当することになりました。市川洋会員他の長い期間にわたるご努力に感謝したいと思います。

 事務局を交替して慣れない面も多々あり、会員各位にはご迷惑をおかけすると思います。実際、すでに引き継ぎが遅れて、本来7月頃に発行すべきニュースレターが9月にずれ込みました。例会の講演募集(海洋学会、水産海洋学会のMLで流されました)がニュースレターでできなかったことをお詫びいたします。今後、西南地区の海洋学関連の情報交換の場として機能し続けるべく努めたいと思いますので、ご協力どうぞよろしくお願い申し上げます。

 本ニュースレターは支部会員および西日本海洋調査技術連絡会議会員機関へお送りしています。本支部は西南地区(山口県、九州県)の海洋学の進歩普及を図ることを目的として海洋学会内に発足した組織ですが、地区内に在住しない方でも、海洋学会員でない方でも入会できます。地区外へ転出される場合、あるいは海洋学会を退会される場合でも支部への加入を継続することが可能です。この際に支部参加を継続する旨を事務局へお知らせ戴ければ、ニュースをお送りします。今後の転勤等に際して、ご連絡くださいますようお願い申し上げます。

 

 

 

本ニュースレターに関するご意見や投稿したい情報等がありましたら、下記へお知らせ下さい。

日本海洋学会西南支部事務局
九州大学応用力学研究所海洋循環力学分野内
〒816-8580
福岡県春日市春日公園6-1
電話:092-583-7731 Fax092-583-7735
e-mail: matsuno@riam.kyushu-u.ac.jp

日本海洋学会西南支部ホームページ
http://kaimen3.esst.kyushu-u.ac.jp/swb.html