EDUCATION

 ナノメカニックス研究室では、高効率太陽電池、低損失電力変換素子、高速演算素子などに用いられる半導体材料を開発しています。具体的には、マクロ(連続体)からナノ(原子レベル)の幅広い視点に立ち、半導体結晶成長メカニズムの解明および材料の高品質化を行っています。

主な研究課題
1.太陽電池用半導体成長炉の開発
 太陽電池の変換効率は、半導体材料中の転位や不純物などの欠陥密度によって変化します。本研究室では、成長中に導入されるこれら格子欠陥の密度を低減することを目的として、独自の3次元ダイナミックシミュレータ等による半導体成長炉の開発を行っています。

2.超高効率太陽電池の開発
 シリコンを用いた太陽電池が民生用として広く普及しています。一方、衛星用太陽電池には化合物半導体を多段に積層した高効率の多接合太陽電池が使用されています。本研究室では、多接合太陽電池の更なる高効率化に向けて、オリジナルの理論解析手法による原子レベルの結晶成長メカニズム解析および成長条件の提案を行っています。

3.低損失電力変換素子用の半導体材料開発
 電気自動車などのモーターを駆動する際に、蓄電池から供給される直流は交流へと変換されます。このとき、現状のシリコンを用いた電力変換素子では10〜20%の電力損失があります。本研究室では、電力変換素子の低損失化を目指して、炭化ケイ素やIII族窒化物半導体などの次世代デバイス用材料の開発を、理論的・実験的観点から進めています。

主な研究設備
高輝度X線回折装置、高品質半導体結晶成長装置、動画画像処理装置、大規模数値計算用コンピュータ、並列クラスター計算機




 <修士論文のテーマ>
   2020(令和2)年度
   ・Floating Zone法を用いた200 mmシリコン単結晶成長過程の
            融液挙動三次元数値解析
   2019(令和元)年度
   ・カスプ磁場印加Czochralski法におけるシリコン融液挙動の
            3次元数値解析
   2017(平成29)年度
   ・太陽電池用結晶Siの成長過程と冷却過程における転位増殖に及ぼす
            酸素の影響
   ・窒化物半導体 MOVPEにおける気相 -固相関係の熱力学的考察
   ・AlN結晶成長のPVT法における成長機構に関する研究
   2016(平成28)年度
   ・シリコン単結晶中の転位増殖に及ぼす酸素の影響
   ・窒化物半導体コヒーレント成長の熱力学解析
   2015(平成27)年度
   ・高効率太陽電池用InGaNにおける気相成長機構の第一原理計算
   ・昇華法成長における4H-SiC単結晶の基底面転位密度解析
   2014(平成26)年度
   ・二次元核形成理論を用いたSiC昇華法成長における多形安定性の非定常
            解析
   ・AlN固体ソース溶液成長における初期成長過程のその場観察
   2013(平成25)年度
   ・固体ソース溶液成長法により作製したAlN結晶の欠陥低減技術の開発
   ・自動車用SiCパワー半導体における結晶成長炉内の総合伝熱解析
   ・InN加圧MOVPE成長における異相混入の抑制に関する理論検討
   2012(平成24)年度
   ・垂直ブリッジマン法による太陽電池用多結晶Si成長中の
            転位密度分布解析
   2011(平成23)年度
   ・二次元核形成理論を用いたSiC昇華法成長における
            熱力学的多形安定性解析
   ・Li-Al-N系溶液を用いたAlN溶液成長における成長速度の高速化
   2010(平成22)年度
   ・自動車用高性能半導体結晶の新規成長法の提案とその実証
   ・微傾斜SiC基板上におけるグラフェン形成機構の理論的検討
   2009(平成21)年度
   ・窒化物半導体材料における成長条件の理論解析手法の開発
   2008(平成20)年度
   ・AlNバルク結晶の微細構造解析
   ・太陽電池用多結晶Siの凝固過程におけるSi2N2OとSi3N4の形成に関する
            数値解析
   2007(平成19)年度
   ・一方向性凝固法による多結晶Si育成過程の数値解析
   ・Li3NとAlを用いたAlN溶液成長
   2006(平成18)年度
   ・LPE成長法によるGaN単結晶育成過程の数値流動解析
   ・Si/Ge/Si(001)界面形状とフォノン伝播の関係
   ・一方向性凝固によるSi多結晶育成炉の3次元非軸対称熱輻射数値解析
   ・分子動力学法を用いたSiCの熱伝導率解析
   2005(平成17)年度
   ・Chochralski法によるSi単結晶製造過程の酸素濃度移動数値解析
   ・キャスト法によるSi多結晶製造時における熱流動解析
   2004(平成16)年度
   ・分子動力学法によるGaN及び窒化物混晶の熱伝導率解析
   2003(平成15)年度
   ・分子動力学法を用いた固体内部摩擦に関する研究
   ・高機能単結晶育成のための融液流動制御
   2002(平成14)年度
   ・並列計算を用いた分子動力学法によるGaAsの物性の解析
   ・分子動力学法によるシリコン熱伝導の同位体効果に関する研究
   2001(平成13)年度
   ・分子動力学法によるアモルファスSiの物性解析
   ・ロケット発射時のロケット−ランチャ系の動的応答解析

 <博士論文のテーマ>
   2019(令和元)年度
   ・横磁場印加チョクラルスキー法を用いた結晶径300mmシリコン単結晶
            成長プロセスにおける熱・物質輸送現象の解明
   2014(平成26)年度
   ・インジウムアンチモンを用いた常温動作可能な量子型赤外線センサの
            研究
   2013(平成25)年度
   ・SiC(0001)面上0層グラフェンの成長機構に関する理論検討
   ・高効率化に向けた太陽電池用多結晶シリコン結晶育成過程に関する研究
   2012(平成24)年度
   ・InGaN有機金属気相成長における混晶組成制御に関する理論検討
   2008(平成20)年度
   ・太陽電池用シリコン多結晶中の不純物分布解析に関する研究
   2007(平成19)年度
   ・分子動力学法による機能性材料の熱伝導率解析
   2004(平成16)年度
   ・2重坩堝法とACRTを用いたニオブ酸リチウムの結晶成長プロセス解析

 <卒業生の進路>
   博士前期課程
   ・三菱東京UFJ
   ・ホンダ
   ・新日鐵住金 (2)
   ・(株)デンソー (3)
   ・住友金属 (2)
   ・九州大学大学院博士後期課程 進学 (4)
   ・JR東海
   ・JAL
   ・トヨタ自動車 (3)
   ・マサチューセッツ工科大 留学
   ・ANA
   ・石川島播磨重工業(株)
   ・三菱重工業(株)
   ・富士重工業(株)
   ・(株)東芝
   ・(株)日立製作所 (2)
   ・三菱電機(株)
   ・富士通ディジタル・テクノロジ(株)

   博士課程後期
   ・旭化成
   ・九州大学 PD、NIMS MANA
   ・京セラ
   ・大阪大学 PD、三重大学 工学研究科 機械工学専攻 助教
   ・物質・材料研究機構 材料研

   <他大学からの学生の受け入れ実績>
    神戸大学、宮崎大学、鹿児島大学、金沢大学 など