水槽の概要
1. はじめに
応用力学研究所は昭和46年から平成6年に至るまで一貫して、海洋計測システムの
開発研究を海洋物理部門と海洋工学関連部門間の大型共同研究として行っている。そ
の目的は当初の「海洋災害の防止」から「海洋資源の開発」さらには「地球環境の保
全と解明」へと社会の要請に応えて変わってきた。それに伴って海洋計測の対象も海
上気象・風波浪、海流・水温・塩分、大気海洋相互作用・海水溶存物質へと広がって
きている。初期の風波浪の計測のためには、定置型或いは移動型の海面ブイシステム
が主な計測手段であって、開発のための研究施設は津屋崎実験所内の海洋災害研究用
大型水槽が有用であり、通常の船舶海洋工学の研究分野の設備がそのまま使用できた
。しかしながら、海流や海水溶存物質の測定のように、海面から深海底までのデ−タ
取得が必要になってくると、計測手段も海中・海底を移動するロボットや海中に定置
する自動計測ステ−ション等が有効であり、この為には海中物体の力学と制御の研究
が重要となってきた。応用力学研究所では、海中技術の推進のために深海水槽の設置
を計画した。
2. 水槽の概要
水槽及び主要設備は平成6年3月末に完成した。
水槽及び設備の概念図1を示す。
水槽は長さ65m,幅5m, 水深7mである。通常の船舶海洋工学分野の曳航水槽に比
べて長さ、幅の割には深さが大きい。その理由は船舶・海洋構造物の波浪中の性能の
ように海面付近の流体力学や運動の研究に加えて、海中ビ−クルや海洋観測システム
の研究のための海中での運動や制御の研究のテ−マが増えて来たためである。また水
中実験の観察のための観測窓(2m×2m)を水槽中央に設置している。
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