センター紹介
CIARセンターは、科学研究費基盤研究S「多波長ライダーと化学輸送モデルを統合したエアロゾル5次元同化に関する先導的研究」と連携し、アジア域の主要な大気汚染物質の発生源からの流れを把握するために緯度帯・気候帯を代表する3地点(沖縄・福岡・富山)に多波長のラマン・ミー散乱ライダーを設置し、エアロゾル組成・空間分布の連続測定を行う。それをもとに、黒色炭素(BC)成分を含むエアロゾルの組成を高精度でリトリーバルするアルゴリズムを開発し、これらの観測値を拘束条件として、多成分同時同化化学輸送インバースモデルを構築し、高精度のBCや人為起源エアロゾルの5次元(時間・地点・組成)のエアロゾル分布の再解析データベースを構築する。
センターの研究は観測・モデルの統合研究に最大の特徴がある。従来、独立に行われていた地上・リモートセンシング計測結果の解析、排出量推計、化学物質輸送モデルシミュレーション解析を、データ同化手法を用いて統合する点がユニークである。則ち、ライダー計測のリトリーバル研究分野、人間活動に伴う大気汚染物質の排出量の推計という研究分野、化学物質輸送モデルを中心とした環境モデル研究分野という従来密接に連携することのなかった研究分野を、データ同化手法を用いて統合し、次世代の大気環境汚染のシミュレーション手法を確立し、各分野の問題点を明らかにし精度の向上をもたらし、今後の大気環境シミュレーション研究を先導することを1つの目的としている。