2. 共同研究 募集内容(2025 年度 共同利用研究)
2-1. 特定研究の課題
特定研究1【新エネルギー力学】
研究テーマ: | エネルギー材料開発を加速する材料情報学の開拓 |
研究統括者: | 草場 彰(新エネルギー力学分野) |
概要: |
計算科学とデータ科学の融合により、新材料の発見が飛躍的に加速すると期待されています。従来のように、各研究者が特定の材料に焦点を当てて合成手法の開発やプロセス設計を行うアプローチでは、新材料の発見に対して研究者の数が不足し、未来に有用な材料が社会実装されずに埋もれていくことになります。
本特定研究では、量子力学、熱統計力学、機械学習に基づいた結晶成長シミュレーター構築の自動化と高度化を2つの柱とし、要素技術の開発を進めます。この高度化には、最新の計測実験とのコラボレーションも不可欠です。これにより、まず自動的に材料開発が進行し、スクリーニングされた特に有望な材料や、さらなる高品質化が望まれる材料のみ、研究者によって高度に解析されるという、材料開発の未来像を目指します。 |
特定研究2【分野融合】
研究テーマ: | 流体・プラズマにおける非平衡現象と数理モデリング |
研究統括者: |
小菅 佑輔(核融合力学分野)
大貫 陽平(地球環境力学分野) |
概要: |
自然界における多くのシステムでは外部駆動が存在し、しばしば平衡状態からかけ離れた遠非平衡状態にあります。太陽からのエネルギー注入のある惑星流体や、外部加熱が存在する核融合プラズマなどは典型的な非平衡系の例です。このようなシステムの振る舞いを理解するためには、現象の観測に加え、その背後にある物理過程を理解するための数理モデル研究が必要不可欠です。
本特定研究では、流体やプラズマ、より広くは連続媒質(アクティブマター等)を対象とし、個別に展開されている研究を互いに共有することで、両者に共通する非平衡系に関する学理を追求し、環境変動予測や核融合エネルギー開発などの応用のための確かな基盤を築くことを目指します。 |
特定研究3【分野融合】
研究テーマ: | IoTとビッグデータを活用した情報処理プロセスの自動化と最適化 |
研究統括者: |
長谷川 真(核融合力学分野)
朱 洪忠(新エネルギー力学分野) |
概要: |
IoT(Internet of Things)技術の急速な普及と共に、世界中のデバイスやセンサーから大量のデータが生成されるようになりました。同時に、ビッグデータ技術も急成長し、これらのデータを収集、保存、解析するための効果的な手法も開発されています。これに伴い、情報処理プロセスの自動化と最適化は多くの分野で重要な課題となっています。
本特定研究では実験的な研究で培った様々な分野の制御手法と自動化技術を背景に、リアルタイムな情報処理など新技術の開発・蓄積と普及を推進する中核的な役割を果たします。本研究はデータ駆動型制御や洋上風力の開発など広範な領域でその応用が可能であり、革新的なアプローチや技術の普及を、分野をまたがり行うことで課題解決力と競争力の強化を促し、新しい知識と価値の創造を目指します。 |