2. 共同研究 募集内容(2025 年度 共同利用研究)
2-3. 核融合力学分野
(1) 特定研究
(2) 国際化推進研究
(3) 若手キャリアアップ支援研究
(4) 一般研究
1)トカマクプラズマ実験共同研究
2008 年度から球状トカマク QUEST 装置を用いた研究を立ち上げており、核融合分野の研究を核融合科学研究所との双方向型共同研究として展開しております。
応用力学共同研究拠点として球状トカマク QUEST 装置を応用力学研究のプラットフォームとして提供し、多くの共同研究者(量子科学技術研究機構、東京大学、筑波大学、東京科学大学、核融合科学研究所、京都大学、兵庫県立大学等々)にご利用いただいております。今後もより幅広い研究者にご利用いただきたいと考えております。多数のお申込を歓迎いたします。
1-1)共同研究として期待する分野
共同研究課題として、以下の研究分野を期待しています。
- ① 高温トカマクプラズマとプラズマ・壁相互作用の基礎過程
- ② マイクロ波・ミリ波のプラズマ加熱や計測への応用
- ③ 粒子循環・プラズマ制御法の開発や制御理論の実証
- ④ 波動と粒子の相互作用
特に、① では粒子リサイクリングの経時変化、金属不純物の共堆積のその場計測、対向材の熱負荷分布計測、リサイクリングの対向材表面温度依存性など、密度制御に係わる課題に対して、新しい計測法の開発や、研究の発展を目指しています。② では新型のアンテナを設置してプラズマ中に静電波や電磁波を励起することでプラズマの反応に関する研究や、プラズマ計測や他分野での計測と応用に関する研究を実施します。③ では非線形な物質であるプラズマの制御法の開発や、新しい制御理論をプラズマ制御に適応する研究を実施します。④ では波動を用いたプラズマ粒子加速の原理実証や自発電流によるプラズマ維持等の実験を目指します。
これらの基本研究課題以外の新しい提案も歓迎します。
2)極限基礎材料実験共同研究
極限的高熱・粒子負荷環境下の材料の研究は、多岐にわたり研究課題に相関があります。応用力学研究所では、高温プラズマ理工学研究センターを中心にプラズマ・壁相互作用に関する実験装置が多数整備されており、プラズマ中に直接材料を挿入して損傷状況を見る照射実験を行ってきました。これらを基に、実機における極限状況下での材料に関する研究やそれを支える基礎研究、さらにはその成果をふまえての材料開発まで総合的な極限材料の研究に取り組んでいます。
応用力学共同研究拠点としては、球状トカマクQUESTが稼動しておりますので、このプラズマ・壁相互作用に関する実験装置利用による基礎材料研究を通じて、以下のような研究課題が想定されています。また、これら以外の新しい提案も歓迎します。
2-1)プラズマ・壁相互作用の把握
- ① 不純物原子の放出源及びその機構
- ② 水素、ヘリウムの吸蔵・放出現象
- ③ プラズマ対向材のプラズマ粒子照射損傷
- ④ 透過プローグによる壁材への水素透過
2-2)実験室実験によるプラズマ・壁相互作用と素過程の解明
- ① プラズマ・壁相互作用の定量的評価とそれに基づく材料開発指針の取得
- ② 熱負荷、プラズマ粒子負荷、特にヘリウム粒子負荷による材料劣化機構
2-3)耐照射性に優れたプラズマ対向材料の開発と特性評価
3)プラズマ乱流共同研究
応用力学研究所は極限プラズマ研究連携センターと連携し、プラズマ乱流研究を推進してきました。高温磁化不均一プラズマにおける乱流と時空構造の動的応答の探求によりプラズマの動的輸送現象を解明することを目的としております。
上記研究の遂行に関しては e-Science の手法(理論、実験、シミュレーションの連携)を採用し、理論・シミュレーション・実験研究を有機的に統合する実験装置・研究システムとして、直線プラズマ乱流実験装置 PANTA 及びプラズマ乱流ドックを構築しました。このため、今後の共同研究課題としては、上記をさらに発展させるべく、以下のようなものが想定されます。これら以外の新しい提案も歓迎します。
3-1)乱流プラズマの構造形成と選択則に関する研究
- ① マルチスケール乱流統計理論
- ② マルチスケール乱流遷移理論
- ③ 位相空間乱流理論
- ④ TDS(Turbulence Diagnostic Simulator)コード開発
- ⑤ NLD(Numerical Linear Device)を用いた乱流シミュレーション研究
- ⑥ 乱流シミュレーションデータの数値診断および実験、理論との比較研究
- ⑦ PANTA による乱流ダイナミクスの観測
- ⑧ PANTA による先進プラズマ乱流診断法の開発
3-2)核燃焼プラズマの統合シミュレーション研究
- ① マルチスケール・拡張 MHD の理論シミュレーション研究
- ② マルチスケールプラズマ乱流の理論シミュレーション研究
- ③ マルチスケール周辺プラズマモデリングおよびシミュレーション研究
- ④ 輸送と加熱・電流駆動のマルチスケール統合シミュレーション
- ⑤ 統合コードモデリングおよび並列計算スキームの開発
(5) 研究集会
- ① トロイダルプラズマに関する研究会
- ② 極限材料に関する研究会
- ③ プラズマ理論に関する研究会
- ④ プラズマに関する学際的横断的課題に関する研究会
- ⑤ その他、新しい芽となり得る課題についての小規模研究会